大型シーリングファン(HVLSファン)の電気代|100%と50%運転の消費電力を解説
物流倉庫や工場への大型シーリングファン(HVLSファン)導入を検討する際、「1日運転すると電気代はいくらかかるのか」「設定を下げると、どのくらい電気代が変わるのか」というご質問をいただきます。
電気代を考えるうえでは、最大消費電力だけでなく、実際にどの程度の設定で運転するかが重要です。本記事では直径7.3mのエミアスファン「EMIAS-7MP」を例に、1日8時間運転した場合の電気代と、100%・50%運転で消費電力が大きく異なる理由を解説します。
大型シーリングファンの電気代の計算方法
弊社では、ファンの消費電力、設置台数、運転時間、お客様の電力単価をもとに、電気代を概算しています。
計算式は次の通りです。
消費電力(kW)× 台数 × 電力単価(円/kWh)× 1日の運転時間 × 稼働日数
例えば、消費電力1.2kWのファンを1台、1日8時間運転し、電力単価を27円/kWhとした場合は、
1.2kW × 1台 × 27円/kWh × 8時間= 約259円/日 となります。
月30日運転した場合は、
1.2kW × 1台 × 27円/kWh × 8時間 × 30日= 約7,776円/月 です。
※本記事の27円/kWhは、計算例として設定した単価です。実際の試算では、お客様の契約内容に応じた電力単価を使用します。
EMIAS-7MPの100%運転と50%運転の消費電力
エミアスファン「EMIAS-7MP」の消費電力は、100%運転時で1,200W、50%運転時で147Wです。
| 運転設定 | 消費電力 |
|---|---|
| 100%運転 | 1,200W |
| 50%運転 | 147W |
注目したいのは、50%運転時の消費電力が、1,200Wの半分である600Wではなく、147Wとなる点です。
147Wは1,200Wの約12.3%に相当し、100%運転時と比較すると、消費電力は約88%少なくなります。
ここでいう「50%」はファンの運転設定を表しており、消費電力が50%になるという意味ではありません。ファンは回転速度を下げると、必要な動力が大幅に低下する特性があります。
そのため、弊社では最大消費電力だけでなく、実際に使用する運転設定も踏まえて、導入後のランニングコストをご検討いただくことをおすすめしています。
1日8時間運転した場合の電気代比較
EMIAS-7MPを1台、1日8時間運転した場合の電気代を比較します。
計算条件は、電力単価27円/kWh、月30日稼働です。年間の金額は、同じ条件で12か月、合計360日稼働した場合の試算です。
| 運転条件 | 消費電力 | 1日8時間 | 月30日 | 年間360日 |
|---|---|---|---|---|
| 100%運転 | 1,200W | 約259円 | 約7,776円 | 約93,312円 |
| 50%運転 | 147W | 約32円 | 約953円 | 約11,431円 |
50%運転時の1日の電気代は、
0.147kW × 1台 × 8時間 × 27円/kWh
= 約32円/日
です。同じ条件で月30日運転すると約953円、年間360日では約11,431円となります。
この試算では、100%運転と50%運転の月間差額は約6,823円です。
ただし、運転設定を下げると風量も変わります。弊社では、電気代の比較とあわせて、作業エリアに必要な風が届くか、導入目的に合った気流が得られるかを確認することが大切だと考えています。
※金額は、計算途中では丸めず、最終結果の小数点以下を四捨五入して表記しています。
回転速度を下げると必要動力が大幅に下がる理由
「50%運転なら、消費電力も半分になるのでは」と思われるかもしれません。
しかし、ファンを回すために必要な動力は、回転速度に対して単純に比例するわけではありません。
ファンには一般に「ファンの相似則」と呼ばれる関係があります。同じファンで空気密度や運転条件などが一定の前提を満たす場合、次の関係が成り立ちます。
- 風量は、回転速度にほぼ比例する
- 圧力は、回転速度の2乗にほぼ比例する
- 必要な軸動力は、回転速度の3乗にほぼ比例する
例えば、回転速度を50%にすると、理論上の軸動力は、
0.5 × 0.5 × 0.5 = 0.125
となり、100%時の約12.5%まで下がります。
EMIAS-7MPの消費電力を比較すると、
147W ÷ 1,200W = 12.25%
です。
このように、ファンでは回転速度を下げることで、必要動力が大幅に低下します。運転設定を調整した際に電気代が大きく変わる背景には、こうした特性があります。
ファンを回す動力と電源から使う電力の違い
相似則に出てくる「軸動力」と、電気代の計算に使用する「消費電力」は、厳密には異なります。
軸動力は、ファンを回すために必要な機械的な動力です。一方、消費電力は、モーターや制御機器を含めて、電源から取り込む電力を指します。
実際の消費電力には、モーターや制御機器の効率、機器自身の損失、運転条件などが影響します。また、コントローラーの設定値と実際の回転速度の関係は、機種や制御方法によって異なります。
そのため、弊社では、電気代を計算する際に相似則だけで消費電力を推定するのではなく、対象機種・運転設定に対応した消費電力を使用します。
「設定50%」「回転速度50%」「消費電力50%」を区別することで、運転条件と電気代の関係を正しく把握できます。
最大消費電力だけで運用コストを判断しない
弊社では、導入前の比較資料として、まず最大設定で運転した場合の電気代を確認し、そのうえで通常運転を想定した試算をご検討いただくことをおすすめしています。
倉庫や工場では、季節、時間帯、作業内容によって必要な風量が変わります。常に100%で運転する必要があるとは限りません。
例えば、朝夕は回転速度を抑える、暑い時間帯は設定を上げる、作業をおこなっているエリアだけ運転するといった使い方が考えられます。
必要な気流に合わせて運転設定を調整することは、快適性とランニングコストの両面で重要です。
弊社では、作業エリアの風速や体感、温度ムラなどの現場条件を踏まえ、導入目的に合った使い方をご提案します。。
30台導入した場合の月間電気代
大型物流センターでは、数十台のエミアスファンを導入いただくケースもあります。
EMIAS-7MPを30台、1日8時間、月30日、電力単価27円/kWhで運転した場合の電気代は、次の通りです。
| 運転条件 | 計算式 | 月間電気代 |
|---|---|---|
| 100%運転 | 1.2kW × 30台 × 8時間 × 30日 × 27円/kWh | 約233,280円 |
| 50%運転 | 0.147kW × 30台 × 8時間 × 30日 × 27円/kWh | 約28,577円 |
設置台数が多い施設では、運転設定による消費電力の違いが、施設全体のランニングコストにも大きく影響します。
そのため、弊社では設置台数や配置の検討に加え、どの時間帯に、どのエリアを、どの程度の設定で運転するかまで含めてご検討いただくことをおすすめしています。
最大設定と通常運転の両方で試算する
導入後の電気代を把握するには、最大設定での試算と、普段の使い方に合わせた試算の両方が役立ちます。
例えば、1日8時間のうち、一部の時間を100%運転、それ以外を50%運転とする場合は、それぞれの時間帯の消費電力量を計算して合算します。
各設定の消費電力(kW)× その設定での運転時間
を設定ごとに求め、合計に台数、電力単価、稼働日数を掛けることで、運用計画に沿った電気代を概算できます。
本記事の月30日・年360日は、比較のためにそろえた条件です。実際の年間コストは、休日、季節ごとの稼働日数、運転時間、設定に合わせて計算します。
弊社へご相談いただく際には、施設の稼働時間や想定する使い方をお知らせいただくと、より具体的な試算ができます。
ファンの電気代と空調の省エネ効果を分けて考える
大型シーリングファンは電力を使用しますが、広い空間の空気を循環させることで冷暖房を補助する効果が期待できます。ただし、ファンの運転設定を下げた場合の電気代の差と、建物全体の空調電気代の削減は別の話です。
建物の断熱性能、天井高さ、空調設備、シャッターの開閉、外気流入、運転条件などによって結果は変わります。「導入すれば建物全体の電気代が必ず一定割合下がる」と一律に示すことはできません。施設全体の効果を評価する場合は、条件をそろえた使用電力量の比較などが必要です。
電力単価と料金の範囲を確認する
本記事では27円/kWhを使用していますが、すべてのお客様に共通する単価ではありません。
実際の単価は、電力会社、契約プラン、高圧・低圧の契約区分、季節や時間帯などによって異なります。弊社が個別に試算する際は、お客様の契約内容に応じた単価を使用します。
また、電気料金の請求には、使用電力量に応じた料金のほか、基本料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などが関係します。契約によっては、最大需要電力の変化が基本料金に影響する場合もあります。
本記事の金額は、ファンの消費電力量に参考単価を掛けた概算です。電気料金全体への影響を確認する場合は、料金明細や契約条件も踏まえて検討します。
エミアスファンの電気代シミュレーションをご相談ください
弊社では、エミアスファンをご検討されるお客様に対し、次の条件をもとに電気代を概算できます。
- 設置予定機種と台数
- 1日の運転時間
- 月間・年間の稼働日数
- 想定する運転設定
- お客様の電力単価
「1台あたりの月額を知りたい」「30台導入した場合の費用を確認したい」「100%運転と50%運転を比較したい」といったご相談にも対応しています。
大型シーリングファンの導入では、本体価格や設置工事費に加え、導入後の使い方に合ったランニングコストを確認することが大切です。
ロジアスジャパンでは、機種・台数・配置の選定とあわせて、実際の運転条件に基づいた電気代をご案内します。エミアスファンの導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。